アーチェリーで使う基本の道具【リカーブ編】
リカーブボウを始めるときに知っておきたい、弓・矢・防具・周辺用品の役割を整理します。最初から必要なものと、慣れてから足せばよいものも分けて解説します。
2026年9月2日 更新
画像: Mybo公式メディア素材
アーチェリーを始めようとすると、弓以外の道具が想像以上に多いことに気づきます。リカーブハンドル、リム、プランジャー、サイト。名前だけでは、どれが安全のために必要で、どれが狙いを安定させるための部品なのか分かりにくいものです。
先に結論を言うと、最初からすべてを買いそろえる必要はありません。体験会やクラブでは、弓・矢・防具を貸してもらえることが多く、まずは指導者のいる環境で自分に合う重さや長さを確かめるのが先です。自分の道具を選ぶ段階では、部品の役割を知っていると、不要な買い足しやサイズ違いを避けられます。
この記事では、オリンピックやターゲット競技で使われることの多いサイト付きのターゲット・リカーブを中心に説明します。サイトやスタビライザーを使わないベアボウについては、最後に違いをまとめます。
まず全体像
リカーブの道具は、次の5つのまとまりで考えると整理しやすくなります。
| まとまり | 主な道具 | 役割 |
|---|---|---|
| 弓本体 | リカーブハンドル、リム、ストリング | 引いた力を矢へ伝える |
| 発射まわり | アローレスト、ノッキングポイント、プランジャー | 矢を正しい位置に置き、弓から離れる動きを整える |
| 狙いと安定 | サイト、スタビライザー、クリッカー | 狙い・弓の姿勢・引き尺をそろえる |
| 射手の保護 | タブまたはグローブ、アームガード、チェストガード | 弦や矢から指・腕・服を守る |
| 持ち運びと運用 | クイーバー、ボウスリング、ケース、ボウストリンガー | 射場で安全に扱い、保管する |
このうち、クラブで借りられるものと、自分で用意するものは施設によって違います。購入前に「弓一式に何が含まれるか」「矢と防具は借りられるか」を確認してください。
弓本体は3つの部品からできている
リカーブハンドル
リカーブハンドルの製品写真。メーカー写真: Mybo公式メディア素材。
リカーブハンドルは、弓の中央にある持ち手部分です。射手が持つグリップの土台であり、上下のリムを取り付ける中心部でもあります。サイト、アローレスト、プランジャー、スタビライザーなど、ほとんどのアクセサリーもリカーブハンドルに取り付けます。
右利き用と左利き用では、矢を置く側やグリップの形が異なります。手の大きさだけで決めず、利き目や射ち方も含めて指導者に相談しましょう。
リム
リカーブ用リムの製品写真。メーカー写真: Mybo公式メディア素材。
リムはリカーブハンドルの上下に付く、しなる板状の部品です。引いてたわんだリムが元に戻る力で、矢を飛ばします。先端が射手から見て外側へ反り返る形状が、リカーブという名前の由来です。
リムにはポンド表記があります。ただし、表示された数字はすべての射手に同じ負荷を意味するわけではありません。引く長さやリカーブハンドルとの組み合わせで、実際に感じる重さは変わります。「引ける重さ」ではなく、フォームを崩さず何本も射てる重さを基準にしてください。
リカーブハンドルとリムは、取り付け規格やメーカー独自の方式があるため、別々に買うときは互換性の確認が必要です。
ストリング
ストリングを張ったリカーブボウの製品写真。メーカー写真: Mybo公式メディア素材。
ストリングは、上下のリムの先端をつなぐ弦です。両端のループをリムのストリングノックに掛けて使います。中央付近には、指や矢が触れる部分を保護するセンターサービングがあり、矢をつがえる位置にはノッキングポイントを付けます。
ノッキングポイントは、矢を毎回ほぼ同じ高さにつがえるための目印です。弦の中央にあるからといって、そこへ適当に矢を置く部品ではありません。アローレストとの高さや、矢が弓を通過するときの状態と合わせて調整します。
矢は4つの部品で見る
矢は、先端から順に「ポイント」「シャフト」「羽根」「ノック」でできています。
| 部品 | どこにあるか | 役割 |
|---|---|---|
| ポイント | 先端 | 矢の先端に付く重り。的に刺さる部分 |
| シャフト | 矢の本体 | しなりながら飛ぶ筒状の部分 |
| 羽根(ベイン/フェザー) | 後方の側面 | 飛行中の矢の姿勢を整える |
| ノック | 後端 | ストリングに矢をつがえる部品 |
Easton Vectorの製品写真。矢の先端にポイント、後端に羽根とノックがあります。メーカー写真: Easton公式製品ページ。
シャフトはアルミ、カーボン、またはそれらを組み合わせたものが使われます。重要なのは、色や材質よりも自分の引き尺、弓の実際のポンド、シャフトの長さに合ったスパインです。硬さが合わない矢は、サイトを動かしても飛び方の問題が残ります。
矢の長さは、引き尺ぴったりに切ればよいわけではありません。引きすぎや安全上の余裕も関わるため、最初の矢は必ず指導者か専門店で測ってもらいましょう。シャフトを短く切る作業は、あとから元に戻せません。
矢を載せる部品
アローレスト
アローレストの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
アローレストは、射つ前の矢を支える小さな台です。矢がリカーブハンドルに直接当たるのを避け、羽根が弓を通過できる位置に矢を置きます。消耗品なので、粘着式のレストを使う場合は予備を持っておくと安心です。
プランジャー
プランジャーの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
プランジャーは、スプリング入りのボタンで矢の側面を支える部品です。矢が弓から離れる瞬間の左右方向の動きを調整するために使います。アローレストが「下から支える」部品なら、プランジャーは「横から支える」部品です。
プランジャーを締めれば必ず当たるようになるわけではありません。矢のスパイン、ポイント重量、ポンド、射ち方との組み合わせで働き方が変わるため、基本のフォームができてから少しずつ調整します。
狙いと弓の安定に使う部品
サイト
サイトの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
サイトは、リカーブハンドルに取り付ける照準器です。先端のサイトピンを的に重ねて狙います。距離や風に応じて上下・左右を動かせるため、裸弓で感覚的に狙うスタイルとは大きく違います。
サイトを付けると、狙いの基準は作れます。ただし、サイトピンを的の中心に置けば自動的に当たるわけではありません。弓の重さ、アンカー、リリース、矢の状態が毎回そろって初めて、サイトの位置が意味を持ちます。
スタビライザー
スタビライザーセットの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
スタビライザーは、弓の前後や左右に取り付ける棒状の安定装置です。ロングロッド、サイドロッド、エクステンダー、Vバー、ダンパーなどを組み合わせます。発射時の振動やねじれを抑え、弓を持ったときのバランスを整える役割があります。
最初から長いロッドを何本も付ける必要はありません。重くしすぎると、狙っている間に肩や腕が疲れ、フォームが崩れます。まずは指導者のセットアップを基準に、弓を前へ押し続けやすい重さから試します。
クリッカー
クリッカーの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
クリッカーは、矢を引く長さをそろえるための薄い板です。矢を引き分けたときに音が鳴る位置を目印にします。毎回同じドローレングスで射つために有効ですが、アンカーや引き分けがまだ安定していない段階では、付ければよいという部品ではありません。
「音が鳴ったら急いで放す」ための道具ではなく、同じ長さまで引けているかを確認する道具です。導入する時期は、フォームを見てもらいながら決めるのが安全です。
射手を守る道具
タブまたはグローブ
フィンガータブの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
リカーブは、指でストリングを引いて放します。タブやシューティンググローブは、弦が指に食い込むのを防ぎ、リリースを滑らかにするための指の保護具です。
タブは指先に当てる革や合成素材の面で、グローブは指を覆う形です。どちらが正解ということではなく、手の大きさ、指の長さ、好み、指導方針で選びます。サイズが合わないタブは、指を守れないだけでなく、取りかけの再現性も崩します。
アームガード
アームガードの製品写真。射手の前腕を弦から守る保護具です。メーカー写真: Mybo公式メディア素材。
アームガードは、弦が返ったときに押し手の前腕へ当たるのを防ぎます。服の袖を押さえる役割もあります。弦が腕に当たる人ほど強く締めたくなりますが、まずはフォームと服装を確認し、必要以上に大きなものを選ばないようにします。
チェストガード
チェストガードの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
チェストガードは、胸元の服や体に弦が触れるのを防ぐためのものです。全員に必須ではありませんが、厚手の服を着る季節や、弦が服に引っかかる人には役立ちます。
ボウスリング
ボウスリングの製品写真。メーカー写真: Avalon公式ページ。
ボウスリングは、発射時に弓を握り込まず、弓が前へ動くのを受け止めるための輪です。弓を落とさないための道具ですが、装着しただけで安全になるものではありません。最初は指導者に使い方を確認し、弓を強く握らない練習と一緒に覚えます。
射場で使う周辺用品
クイーバー
クイーバーの製品写真。メーカー写真: Mybo公式メディア素材。
クイーバーは矢筒です。腰に付けるタイプや、床に置くグラウンドクイーバーがあります。矢だけでなく、スコアカード、ペン、予備のノックやベインなども入れられます。
ボウストリンガー
ボウストリンガーの製品写真。メーカー写真: Avalon公式ページ。
ボウストリンガーは、リカーブの弦を安全に張るための補助具です。弦を手だけで張ろうとすると、リムをねじったり、弓を傷めたりする可能性があります。モデルによって使い方が違うため、初回は必ず指導者やメーカーの説明に従ってください。
ケース
弓ケースの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
ケースは、分解した弓や矢を運び、傷や衝撃から守ります。
ボウスタンド
ボウスタンドの製品写真。メーカー写真: FIVICS公式商品ページ。
ボウスタンドは、休憩中に弓を地面へ置かずに済む道具です。ケースとボウスタンドは、射つ瞬間の性能を上げる部品ではありませんが、道具を長く安全に使うために役立ちます。
最初にそろえる順番
購入の順番は、次のように考えると無理がありません。
- 体験・貸し出しで試す — 弓の長さ、引き尺、ポンド、左右の仕様を指導者と確認します。
- 自分に触れる保護具を選ぶ — タブまたはグローブ、アームガードをサイズに合わせます。
- 矢を合わせる — 引き尺と実際のポンドを測ってから、シャフトの長さとスパインを決めます。
- 弓のセットアップをそろえる — リカーブハンドル、リム、ストリング、アローレスト、プランジャーを互換性のある組み合わせで選びます。
- サイトと安定装置を足す — 使い方を覚えながら、サイト、スタビライザー、必要ならクリッカーを追加します。
- 運用用品を整える — クイーバー、ボウスリング、ボウストリンガー、ケース、予備部品を用意します。
サイトやスタビライザーが付いたセットを買う場合も、弓のポンドと矢のスパインが合っているかを先に見ます。アクセサリーの数が多いことと、射ちやすいことは同じではありません。
リカーブとベアボウはどこが違うのか
ベアボウは、弓の形としてはリカーブと同じものを使うスタイルです。ただし、競技規則上のベアボウではサイトとスタビライザーを使いません。弓の形だけを見て「リカーブだからサイト付き」と判断すると、ここで混乱します。
一方、コンパウンドはリムの先端にカムがあり、リリーサーを使うことがあります。リカーブで使うタブやグローブと、コンパウンドの発射補助装置は別のものです。
ショップやクラブで「リカーブ一式」と書かれていても、サイト・プランジャー・スタビライザー・クリッカーまで含むかは商品ごとに違います。セット名ではなく、部品表を見て確認するのが確実です。
安全のために、道具より先に確認すること
弓具は、買えば安全になるものではありません。始める前に、次の点を指導者と確認してください。
- 弓の強さが、フォームを崩さず繰り返し射てる範囲にあるか
- 矢に曲がり、割れ、ノックのゆるみ、ポイントのがたつきがないか
- 弦やサービングにほつれがないか
- 弦を張る・外す方法が、その弓に合っているか
- 射場の合図、発射線より前へ出るタイミング、矢取りの手順を理解しているか
- 人のいる方向へ、矢をつがえた弓を向けていないか
とくに、矢や弦の異常は「少しなら大丈夫」と判断しないでください。違和感があれば射つのを止め、指導者や専門店に見てもらいます。
まとめ
- リカーブの弓本体は、リカーブハンドル、リム、ストリングで構成されます
- 矢は、ポイント、シャフト、羽根、ノックの4つに分けて考えます
- アローレストは下から、プランジャーは横から矢を支える部品です
- サイトは狙いの基準、スタビライザーは弓のバランスと振動を整える部品です
- タブまたはグローブとアームガードは、最初から用意したい保護具です
- クリッカー、長いスタビライザー、ケースなどは、フォームや環境に合わせて後から足せます
- 最初に買うべきものは、値段や部品数よりも、体格・引き尺・ポンド・矢のスパインに合っているものです
- ベアボウはリカーブ形状でも、サイトとスタビライザーを使わない別のスタイルです
参考にした資料
本記事の部品名と基本的な役割は、公益社団法人全日本アーチェリー連盟「アーチェリーの道具」を参照しました。リカーブの弓本体とアクセサリーの構成は、World Archery「Recurve」の解説も確認しています。
競技上の用具区分に触れた箇所は、World Archery Book 3: Target Archery(2026年1月27日版)の Recurve Division、Barebow Division を基準にしています。大会に出場する場合は、参加する大会の最新規則と主催者の案内を確認してください。
画像は、各メーカーが公式に公開している製品写真を使用しています。Myboのハンドル、弓全体、リム、アームガード、クイーバーは Mybo Media の配布素材、矢は Easton Vector公式製品ページ、小物は FIVICS公式ショップ、ボウスリングとボウストリンガーは Avalon公式ページ の製品写真です。画像は記事用にリサイズ・トリミングしています。
採用素材の記録:
- カバー、ハンドル、リム、弓全体、アームガード、クイーバー: Mybo公式Media
- 矢: Easton Vector公式製品ページ
- アローレスト、プランジャー、サイト、スタビライザー、クリッカー、フィンガータブ、チェストガード、ケース、ボウスタンド: FIVICS公式ショップ
- ボウスリング、ボウストリンガー: Avalon公式ページ
採用根拠は、メーカー公式のMediaページまたは公式製品ページで公開されている製品写真であることです。用途は非商用の解説記事とし、出典を各キャプションと本欄に記載しています。製品写真は特定モデルの例であり、すべてのリカーブ用具が同じ仕様という意味ではありません。